★特別な曰く付きの楽器です。ホルン吹きにとっては忘れることのできないゲルト・ザイフェルトは1964年にベルリン・フィルに入団しましたが、ドイツの楽器メーカー・アレキサンダー社は、それまで主にメルヒオールという楽器が中心で自社の楽器を使っていなかったザイフェルトに対して、今後の使用を願い、特別にザイフェルト向けの103GBを提供しました。
しかし、もともと肉厚のイエローブラスが好みだったザイフェルトは、金属が薄めのアレキサンダー製はあまり好まず、何度か本番で試したものの、やはりこれは合わないと言って、その時弟子であった日本人(元NHK交響楽団)に譲りました。その日本人こそ出品者である私の師匠なのですが、当時アレキサンダーを探していた私に、古い物でも良かったらということで、その曰く話と共に80年代に譲ってくれた訳です。
当然製造番号はなく、ハンドハンマー製、レバーのジョイントも優雅なS字型で、ウォーターキーはありません。そのような貴重、希少な楽器なのですが、訳あって写真のような状態になってしまいました。
※凹み、キズは大小合わせて15か所ほどあります。
※ロータリーは3年ほど動かしていないせいか固まってしまい動きませんが、分解掃除すれば動くと思います。
※小指かけフックは、ザイフェルトの手に合わせたため移動ハンダ付けしてあります。
※オジリナルケースは破損したためソフトケースに入っています。
※重量は、ケースを含めて3.7kgです。
★吹奏感は、今のアレキにはない深~く艶のある滑らかな音で、音が出るまでに絶妙なタイムラグがあり、まさに「息が持って行かれる」という感覚です。そして「遠鳴り」します。この魅力はわかる人にはわかってもらえるはずです。
ただ出品者は高齢になり、様々なコレクションを整理している状況ではあるものの、このアレキだけは処分する気にはなれなかったのですが、泣く泣く可愛がってくれる人がいれば譲りたいと思った次第です。
現在のアレキはびっくりするほど値段が上がりましたが、これを修理して末永く愛していただける方の手に渡れば、私もこの楽器も本望です。
 
 カテゴリー:
ホビー・楽器・アート##楽器・機材##管楽器・吹奏楽器